七草粥に合うおかずを探している方の多くは、「体にやさしくしたいけれど、七草粥だけでは少し物足りない」「何を合わせれば失敗しないのかわからない」と感じているのではないでしょうか。
七草粥は日本の伝統行事食である一方、味がとてもあっさりしているため、献立に悩みやすい料理でもあります。
この記事では、七草粥に合うおかずの考え方から、無理なく取り入れられる簡単レシピまで、松の明けの食卓がほっと落ち着く内容をわかりやすくまとめています。
目次
七草粥に合うおかずの3つの条件
七草粥に合うおかずは、「何となく」ではなく、3つの基準で選ぶと失敗しにくくなります。
胃腸をいたわりつつ満足感も出るので、迷ったときの目安にしてください。
条件① 消化が良いこと
七草粥は、年末年始の食べ過ぎで疲れた胃腸を休めるための料理です。
そこでおかずも、胃に負担をかけにくいものを選ぶのが基本になります。
おすすめは、煮る・蒸す・ゆでるなどの調理法。魚なら煮魚、野菜なら煮物や煮びたし、豆腐なら湯豆腐のようにやわらかい食感のものが向いています。
反対に、噛みごたえの強い肉の塊や、繊維が多くて生だと消化しづらい野菜は、体調によっては重く感じることがあります。
「今日は軽く整えたいな」と思う日は、温かくてやさしい火の通し方を選ぶだけでも、食後が楽になります。
条件② 味がほどよくしっかりしていること
七草粥は塩気が控えめで、味わいがやさしい分、おかずが薄味すぎると全体がぼんやりしてしまいます。
だからといって濃い味にする必要はなく、だしの旨みや甘辛の照りなど、“少しはっきりした味”があると食べやすくなります。
たとえば煮魚の甘辛い煮汁、だしを含ませた煮びたし、少量の漬物などは、七草粥の口当たりを邪魔せず、良いアクセントになります。
ポイントは「一口目で味がわかるけれど、後味は重くない」こと。だし+醤油少し、みりん少し、といったシンプルな味付けが相性抜群です。
条件③ 油分が控えめであること
七草粥の日は“休ませる日”なので、揚げ物や脂の多い料理は控えめが安心です。
油分は満足感につながる一方で、消化に時間がかかりやすく、食後に胃がもたれる原因になることもあります。
七草粥の軽さとぶつかって、組み合わせとしても違和感が出やすいです。
どうしてもコクがほしいときは、脂を増やすより「とろみ」や「旨み」で補うのがおすすめです。
たとえば、あんかけにして口当たりをなめらかにしたり、鶏ひき肉を少量だけ使って香りと旨みを足したりすると、重くなりにくいのに満足感が出ます。
七草粥に合うおかずの代表例
七草粥は味がとても控えめなため、おかずは主張しすぎない中にも、しっかりとした旨みがあるものが向いています。
胃腸を休める目的を考えると、調理法も「焼く・揚げる」より「煮る・蒸す」が中心になります。
ここでは、取り入れやすく失敗しにくい定番のおかずを紹介します。
煮魚
煮魚は七草粥に最も合わせやすいおかずのひとつです。
味付けがしっかりしているため、あっさりしたおかゆと一緒に食べても物足りなさを感じにくく、自然と箸が進みます。
また、煮ることで魚の身がふっくらとやわらかくなり、焼き魚に比べて消化しやすい点も安心できるポイントです。
さらに、煮魚は調理の際に油をほとんど使わないため、胃腸を休めたい七草粥の日にも向いています。
さわらやかれい、たらなど、クセの少ない魚を選ぶと、七草粥のやさしい味わいを邪魔せず、全体のバランスがとりやすくなります。
野菜の煮物・煮びたし
野菜を煮物や煮びたしにすると、生野菜よりも体に負担がかかりにくくなります。
加熱することで野菜がやわらかくなり、噛む回数が減るため、胃腸にもやさしい食べ方になります。
特に冬場は、温かい煮物が体を内側から温めてくれるのも嬉しい点です。
だしの旨みを含んだ野菜は、七草粥のやさしい味わいともよく合い、食事全体に落ち着いた印象を与えてくれます。
大根やにんじん、菜の花など、旬の野菜を使うことで、無理なく季節感のある食卓に仕上がります。
だしの旨みを含んだ野菜は、七草粥のやさしい味わいともよく合います。
旬の野菜を使うことで、季節感のある食卓にもなります。
漬物
少量の漬物を添えることで、七草粥の献立にほどよいメリハリが生まれます。
おかゆとおかずがどちらもやさしい味の場合でも、漬物があることで味に変化がつき、最後まで飽きずに食べやすくなります。
特に古漬けは、発酵による深みのある旨みがあり、胃腸の働きを助けてくれるといわれています。
ただし量が多いと塩分が気になるため、あくまで少し添える程度がおすすめです。
一口分を意識するだけでも、七草粥との相性がぐっと良くなります。
七草粥に合わないおかず
七草粥の日は、胃腸をしっかり休ませることが目的です。
そのため、揚げ物や脂身の多い肉料理はできるだけ避けたいところです。
油分が多い料理は消化に時間がかかり、七草粥の意味が薄れてしまいます。
また、味が濃すぎる料理も、七草粥との相性はあまり良くありません。
七草粥に合うおすすめおかずレシピ3選
ここでは、七草粥に合わせやすく、調理も簡単なおかずを紹介します。
特別な材料は使わず、普段の料理に近い感覚で作れるものを選んでいます。
さわらの煮つけ
| 材料(2人分) | 分量 |
|---|---|
| さわら | 2切れ |
| だし | 100ml |
| 酒 | 大さじ2 |
| みりん | 大さじ2 |
| 醤油 | 大さじ2 |
| しょうが | 少々 |
さわらを鍋に並べ、だし・酒・醤油・みりんを同量合わせた煮汁を加えます。
しょうがを少し加えて火にかけ、沸騰後は弱火で数分煮るだけで完成です。
短時間でも味がなじみ、七草粥によく合う一品になります。
菜の花の煮びたし
| 材料(2人分) | 分量 |
| 菜の花 | 1束 |
| かつおだし | 大さじ3 |
| 薄口醤油 | 大さじ1 |
菜の花は電子レンジで軽く加熱し、火を通します。食べやすく切って器に盛り、かつおだしと薄口醤油を合わせたものをかければ完成です。
ほろ苦さがアクセントになり、春らしさも感じられます。
大根の肉みそあんかけ
| 材料(2人分) | 分量 |
| 大根 | 1/3本 |
| 鶏ひき肉 | 80g |
| だし | 200ml |
| 砂糖 | 小さじ1 |
| 酒 | 大さじ1 |
| みりん | 大さじ1 |
| 醤油 | 大さじ1 |
| 片栗粉 | 適量 |
大根は下茹でしてやわらかくし、だしで味を含ませます。
別の鍋で鶏ひき肉を少量使った肉みそあんを作り、上からかけます。肉は控えめでも満足感があり、七草粥と一緒でも重くなりません。
カンタン!炊飯器で作る七草粥の作り方
七草粥は炊飯器でも手軽に作ることができます。お米と水をおかゆの目盛りに合わせてセットし、通常のおかゆモードで炊くだけです。
忙しい日でも火加減を気にせず作れるので、気負わず挑戦できます。
水量の目安について

炊飯器で七草粥を作る際は、水の量が仕上がりを左右します。
基本は炊飯器の内釜にある「おかゆ」の目盛りに合わせるのが一番簡単で失敗しにくい方法です。
一般的には、お米1合に対して水は約5倍程度が目安になります。
少しとろみのある仕上がりが好みの場合は水をやや少なめに、さらっとした食感が好みの場合は少し多めにすると、自分好みのおかゆに調整できます。
七草粥を美味しくする2つのポイント
炊く前に少量の鶏ガラスープの素を加えると、コクが出て食べやすくなります。
また、炊き上がりに塩をほんの少し加えることで、味がぼやけにくくなります。
どちらも入れすぎないことがポイントです。
七草を入れるタイミングに注意
七草は火が通りやすいため、おかゆと一緒に炊くと食感や色が悪くなりがちです。
別でさっと加熱し、食べる直前に混ぜることで、見た目も風味もきれいに仕上がります。
ひと手間ですが、仕上がりに差が出ます。
七草粥に「おかずが必要」と感じる理由
七草粥は胃腸を休めることを目的とした料理ですが、夕食として食べる場合は「これだけで足りるかな?」と感じることも少なくありません。
特に普段しっかり食事をしている方ほど、量や味の面で物足りなさを感じやすくなります。
そのため、七草粥の良さを活かしながら、心も満たされるおかずを添える工夫が大切になります。
七草粥とは?本来の意味と食べる理由
七草粥は、1月7日の松の明けに食べる日本の伝統的なおかゆです。
お正月のごちそうや外食が続いた胃腸を休ませ、無病息災を願う意味が込められています。
消化が良く、体に負担をかけにくいのが特徴で、食べ過ぎた体をやさしく整える役割があります。
そのため、合わせるおかずも同じ考え方で選ぶことが大切です。
七草粥のおかずに関するよくある質問(Q&A)
七草粥の献立は、ちょっとした疑問が出やすいものです。
ここでは検索でよく見かける質問を5つ選び、迷いがスッと解消するようにやさしくまとめました。
Q1. 七草粥だけだと物足りないのですが、何を足すと満足できますか?
満足感を出したいときは、量を増やすより「主菜をひとつ添える」ほうがうまくいきます。
おすすめは煮魚や、だしのきいた野菜の煮物です。
七草粥は薄味なので、おかずに旨みがあると食べやすくなり、少量でも心が満たされます。
Q2. 揚げ物やお肉は本当にNGですか?少しなら食べても大丈夫?
揚げ物や脂の多い肉料理は、胃腸を休めたい日に負担になりやすいので、できれば避けるのが安心です。
ただ、少量であれば絶対にだめというわけではありません。
使うなら、鶏ひき肉を少しだけ使ったあんかけのように、油を増やさず旨みを足す形が食べやすいです。
Q3. 子どもが七草粥を食べてくれません。食べやすくするコツはありますか?
子どもが苦手に感じやすいのは、青菜の香りや見た目の印象です。
七草は細かく刻みすぎず、食感を残す程度にして、食べる直前に混ぜると風味がやさしくなります。
だしをしっかり効かせたり、塩をほんの少し加えるだけでも食べやすさが変わります。
Q4. 七草はいつ入れるのが正解?炊飯器で一緒に炊いてもいいですか?
七草は火が通りやすいので、炊飯器でおかゆと一緒に炊くと色や食感が損なわれやすくなります。
おすすめは、七草を別でさっと加熱しておき、食べる直前に混ぜる方法です。
見た目がきれいに仕上がり、香りも残りやすいので、同じ材料でも満足度が上がります。
Q5. 七草粥は朝と夜、どちらに食べるのがいいですか?
七草粥は体にやさしいので、朝でも夜でも大丈夫です。
朝は胃が重くなりにくく、1日を軽やかに始めたいときに向いています。
夜に食べる場合は、揚げ物などを避けて、温かい煮物や煮魚を少し添えると、落ち着いた献立になります。
まとめ
七草粥に合うおかずは、消化の良さと味のバランスを意識することが大切です。
煮魚や野菜の煮物など、体に負担をかけにくい料理を選ぶことで、松の明けにふさわしい食卓になります
。無理をせず、体をいたわる気持ちを大切にしながら、七草粥の時間を楽しんでみてください。

毎年、味気なくてなんだか物足りないと感じていた七草粥も、
こうしたちょっとのアレンジとそれに合うおかずの工夫で満足のいく食卓になりますので、ぜひご参考あれ!



