ニュースを見ていると度々耳にする「政治献金」という言葉。
あなたは政治献金という言葉についてどんなイメージを持っているでしょうか?
おそらく9割方のわれわれ一般人は政治と金のダークなイメージですよね。
それは、そもそも政治献金って何?というところが大部分を占めているわけで、
政治献金の仕組みをしっかり理解をして同じニュースを聞いていると必ずしもダークなイメージばかりではない。
今回は、そんな見方を変えるきっかけとなればと思い、政治献金についてわかりやすく解説していきたいと思います。
政治献金とは
政治献金ときくと、どちらかと言えば政治家個人に対してお金が動いているイメージの方が先行しますが、
「政治をする目的に役立ててもらうための金銭(を計上すること)」
これを政治献金と言います。なので、政治家だけでなく政党に対する資金提供も同じく政治献金と言います。
政治資金規正法と言われる法律上では、この政治献金は「寄附」という呼び方なんですよね。この時点ですでに混乱しそうですね。^^;
簡単に言ってしまえば政治献金は、政治家や政党に対してタダでお金をあげちゃうってこと。
そのあげ方には個人献金と企業献金という形の大きく分けて2つあります。
例えば、トクする君が中小企業の社長だったとします。
トクする君個人の名義で寄附をする場合は、個人献金です。
1回につき1,000円以上で、年間2000万円が個人献金の上限となっています。
一方、株式会社トクする君として寄附をすれば企業献金となります。
こちらは1回につき1万円以上で企業の資本等によって上限が750万円~1億円と法律で定められています。
(※2015年3月現在の政治資金規正法に基いています)
ただし、
企業献金として寄附をする場合は、政治家個人への献金はNG
となっています。
この点がニュースで政治献金が話題になるケースとして多いところになっていますよね。
政治献金の目的ってなに?
問題になるリスクがあるのに、そもそも政治献金なんてもらわなけりゃいいじゃん!政治家なんてお金たくさんもってるでしょ?
一般人から見れば、「政治家=お金持ち」というイメージは拭い切れないものですよね。
確かに政治家は国家公務員ですし、単純にわたしたちとの給料比較をすればその差はしかるべきものです。
ただ、あくまで政治家になれればの話な訳です。
もっと言えば、現在の自民党のような第一党と有志で出来たばかりの政党ではそもそもの資金力が違いますよね。
しかし、普段の政治活動はもちろん、選挙に勝たなければ発言権だけではなく政党としての運営資金も確保できません。
われわれが思っている以上に、政治活動には多額のお金が必要となります。
そのために、個人や企業からの献金、わかりやすく言えばカンパは運営上なくてはならないほど重要です。
プロのアスリートだって後援会やスポンサーの支援がなければ世界の舞台で活躍することはできないですよね?
フィールドは違えど、基本的な考え方は一緒なはずなんです。
ただ、政治献金は法律的に見返りを求めてはいけないもの。
でも、政治献金を提供する個人や企業は表向きには無償で資金を提供しますが、当然、見返りを求めてしまいます。
この法律との位置づけが政治献金を非常に難しくしているところで、われわれが余計にわかりにくくなってしまう所となっているのです。
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八幡製鉄政治献金事件で見る政治献金という認識の難しさ
このように法律と人とお金が複雑に絡み合ってしまう政治献金という問題。
この政治献金の必要性を問う上で、今もなお判断基準として上げられる事件があります。
それは、
八幡製鉄事件(やはたせいてつじけん)
です。
トクする君が生まれる20年ほど前の昭和35年3月14日。
当時の八幡製鉄所の代表取締役は会社名義で自民党に350万円の政治献金をしました。
この献金の目的を、鉄鋼の製造や販売に関わる事業としてのものとしたんですね。
これを法律上、違法であるとした八幡製鉄所の株主が、責任を追求するための訴訟を起こしたことで事態は表面化しました。
企業による政治献金の是非を問うためのことでもあったので、「八幡製鉄所政治献金事件」とも言われます。
で、第一審は株主側の勝訴、第二審では株主側が敗訴。判決は最高裁へと委ねられることとなったんですが・・・
株主側の主張は棄却、つまり敗訴になったんです。
最高裁の判旨(判決理由)の中で八幡製鉄所が行った政治献金に対して、こう答えられています。
会社の政治献金は参政権違反ではない
会社は自然人同様、納税者たる立場において政治的意見を表明することを禁止する理由はない。
憲法第三章「国民の権利及び義務」は性質上可能な限り内国の法人にも適用すべきであり、政治的行為の自由もまた同様である。(引用元:ウィキペディアより)
ぶっちゃけ曖昧過ぎて、どう理解をしていいか一般人のわれわれには難しすぎます^^;
余計な言い回しを取っ払ってしまうと、
個人が寄附をすることと、企業が寄附することに目的はなんら変わりはないということ。
たとえ企業の営利目的が背景にあろうが、政治に参加する権利を違反していることにはならないという訳です。
これだけを取ってみれば、政治献金をすることによる「なんらかの見返り」を求めても良いということにもなる。
じゃあ何を持ってして政治献金(寄附)という法律があるの?
ということで、今もなお政治献金問題が出てくると、その必要性を問うために、この事件が引き合いに出されています。
政治献金というイメージだけが先行してしまわないために
企業や団体からの政治献金(寄附)の禁止を盛り込んだ政治資金規正法の改正案を問う声も多く聞こえますが、
基本的には個人から政治家への寄附と企業・団体から政党への寄附という流れは根本的には変わらないという見解です。
結局のところ寄附する、しないは企業であっても人が最終決定している訳ですから、
私もその考え方を否定するつもりは全くありませんが、企業献金になるとお金の流れがとにかくわれわれ個人レベルにはわかりにくい。
なので、人の力で成り立っているのが企業(法人)だと考えるのであれば、
どういう政党(政治団体)にどのくらい寄附をしたかというのを明確にする必要はありますよね。
政治に関心がないといわれる国民、政治が難しすぎると思っているわれわれ国民。
政治献金一つをとっても、お互いちょっとした歩み寄りでわかりやすくなるものではないでしょうか?
あなたが次に政治献金についてのニュースを見た時に見方が少しでも変わったと思って頂けたら幸いです。