新年を迎えると、商売繁盛を願って多くの人が訪れる十日戎。
毎年1月9日〜11日に行われるこの行事は、地域によって雰囲気やしきたりが異なり、初めて行くと「どんな風に回ればいいの?」「福笹や熊手ってどう選ぶの?」と戸惑うこともあります。
この記事では、十日戎の基本から由来、縁起物の意味、参拝方法まで順番にわかりやすくまとめました。
これから行ってみたい人の不安がスッと軽くなるように、丁寧に解説していきます。
目次
- 1 十日戎とは?いつ・どこで行われる行事?
- 2 十日戎のスケジュール(宵戎・本戎・残り福の違い)
- 3 十日戎の意味とは?恵比須神はどんな神様?
- 4 十日戎の由来|2つの説をやさしく解説
- 5 縁起物「福笹」と「熊手」の意味と違いを徹底解説
- 6 福笹や熊手についている“吉兆(飾り)”の種類と意味
- 7 福笹・熊手の価格(相場)|初心者向けにわかりやすく紹介
- 8 福笹・熊手の返納(納め方)|いつ返す?どうする?
- 9 十日戎の参拝方法|縁起物の受け方・回り方のコツ
- 10 関西の有名な十日戎スポット
- 11 十日戎の混雑状況・屋台情報・アクセス
- 12 初めて十日戎に行く人向け|持ち物・服装アドバイス
- 13 十日戎の豆知識(知るともっと楽しい)
- 14 まとめ|十日戎は新しい年に願いを込められる大切な行事
十日戎とは?いつ・どこで行われる行事?
十日戎は、関西を中心に行われる年始の祭礼で、商売繁盛や家内安全を願って神社に参拝する行事です。
特に西宮神社、今宮戎神社、京都ゑびす神社が有名で、この時期は普段よりも境内が一段と活気づき、訪れる人の表情もどこか弾んで見えます。
期間中には屋台が多く並び、温かい湯気が立ち上る食べ物の香りや、境内に響く明るい声が重なり合って、歩いているだけでも心がほぐれていくような賑わいが広がります。
福笹を授かる人々の姿も多く、笹につけられた吉兆が風に揺れる様子は、新しい一年の始まりにふさわしい希望を感じさせてくれます。
さらに、家族連れや友人同士で訪れる人も多く、笑顔や会話が飛び交う光景は、年の節目を祝う温かさに満ちています。
華やかさの中にもどこか落ち着いた伝統の空気が流れ、ゆっくりと歩きながらその場の雰囲気をじっくり味わうのもまた魅力のひとつです。
十日戎のスケジュール(宵戎・本戎・残り福の違い)
十日戎は3日間にわたって行われ、それぞれの日に独自の空気が流れています。
9日は宵戎と呼ばれ、まるでゆるやかに幕が開くような前祝いの日です。
境内の明かりが少しずつ灯り、参拝者がゆっくりと増えていく様子は、これから始まる賑わいへの期待を感じさせてくれます。
10日は一年の中でも特に多くの参拝者が訪れる本戎で、朝から晩まで人が絶えず、神社全体が活気に包まれます。
屋台の香りや明るい声が重なり合い、境内を歩くだけで心が弾むような時間が流れます。
そして11日は残り福とされ、最後まで足を運んだ人にも福が宿ると伝えられています。
にぎわいの余韻が残る中、ゆったりと参拝できるのも魅力のひとつです。
それぞれの日は雰囲気が異なるため、訪れるタイミングによって感じられる表情も変わり、どの日に行っても自然と心が晴れやかになるような時間が過ごせます。
十日戎の意味とは?恵比須神はどんな神様?
十日戎でおまつりされている恵比須神は、七福神のひとりとして広く知られる神様で、その存在は古くから人々の暮らしに寄り添ってきました。
右手にはしなやかな釣竿を持ち、左手には大きな鯛を抱えた姿で描かれることが多く、その微笑みは穏やかで、見る人の心に安心感をもたらします。
この恵比須神の姿には、海からの豊かな恵みや実りの象徴が込められており、漁業だけでなく商いにも通じる繁栄の願いが重ねられてきました。
さらに、古くから「福を呼ぶ神様」として信仰されてきた背景もあり、その優しい眼差しには、困った時にもそっと背中を押してくれるような温かさが漂っています。
新しい一年の始まりに参拝すると、これから始まる日々を穏やかに見守ってくれるような安心感が生まれ、前向きな気持ちで一歩を踏み出したい人にぴったりの存在だと感じられるでしょう。
十日戎の由来|2つの説をやさしく解説
十日戎にはいくつかの由来が伝わっており、中でも代表的なものが二つあります。
御狩神事説(古代の漁労・狩猟儀式が起源)
古くから、恵比須神は海の恵みをもたらす神として深く信仰されてきました。
漁に出る人々にとって、海は生活の基盤そのものであり、命を預ける場所でもありました。
そのため、漁の成功や安全を願う儀式は欠かせないもので、祈りの対象として恵比須神が崇められるようになったとされています。
さらに、漁だけでなく狩猟や暮らしの安定にも通じると信じられ、海や山からの恵みを象徴する存在として多くの人の心に寄り添ってきました。
このような祈りの文化が広がるにつれ、自然と人々の生活に深く根づくようになり、やがて地域の行事として形を変えながら発展していったと考えられています。
こうした古代の風習が長い年月をかけて受け継がれ、現在の十日戎の原型となったという説は、恵比須神が“生活の支え”として人々の暮らしに寄り添ってきた歴史を感じさせるものです。
江戸時代の商家の風習説(商売繁盛文化との結びつき)
もうひとつの説では、江戸時代に商人たちの間で恵比須神への信仰が特に深まり、商売繁盛を祈る風習が広く根づいたことが起源とされています。
当時の商家では、恵比須神を商売の守り神として大切にし、日々の商いが順調に進むように祈りを捧げていました。
恵比須講などの行事も行われ、商人同士のつながりや地域の結束を強める役割も果たしていたと言われています。
福笹を授かる風習もこの頃から広まり、笹に吉兆をつけて持ち帰ることで、店に“福を招く”という願いが込められるようになりました。
こうした商人文化の広がりが十日戎と結びつき、現在のようなにぎやかで華やかな形へと成長していったとされています。
時代が移り変わってもなお、多くの人が十日戎に足を運ぶのは、この長い歴史と、商いに込められた人々の願いが今も変わらず受け継がれているからかもしれません。
縁起物「福笹」と「熊手」の意味と違いを徹底解説
十日戎の楽しみのひとつが、縁起物を授かること。中でもよく知られているのが福笹と熊手です。
福笹(ふくざさ)とは?
福笹は笹の枝に吉兆と呼ばれる飾りをつけたものです。
笹はまっすぐ伸び、冬でも青々としていることから、力強さや繁栄を象徴するとされます。
特に関西ではこの福笹が定番で、多くの参拝者が神社で授かっていきます。
笹は古くから神事に使われてきた植物で、魔除けや清めの力があると信じられていました。
それが商売繁盛の祈願とも結びつき、福を呼び込む縁起物として広まったとされています。
熊手(くまで)とは?
関東では熊手を授かるのが一般的です。
熊手はその名の通り、落ち葉を集める道具に形が似ており、「運をかき集める」縁起物として親しまれています。
ふんわりとした形の飾りが多く、華やかさが際立ちます。
熊手の発祥は江戸時代とも言われています。
当時の商人たちが、運を集める意味を込めて縁起物に使うようになったのが始まりとされています。
福笹や熊手についている“吉兆(飾り)”の種類と意味
福笹や熊手には、さまざまな意味を持つ飾りがつけられています。
小判や千両箱、鯛などの代表的な飾りには、それぞれに異なる願いが込められており、手にした人の新しい一年をそっと支えてくれるような心強さがあります。
小判には金運や財運の上昇、千両箱には商売の発展や実り多い一年を願う気持ちが託されています。
鯛は「めでたい」に通じ、幸運を呼び込む縁起物として古くから親しまれています。
また、宝船や俵などの飾りも根強い人気があり、宝船にはさまざまな福が集まってくるという希望が込められ、俵は豊作や実りを象徴して一年を通じて安定した生活を願う意味を持ちます。
これらの飾りをひとつひとつ眺めていると、願いの形がそのまま目に見えるようで、不思議と心が明るくなり、新しい年への期待がゆっくりとふくらんでいくような気持ちになります。
福笹・熊手の価格(相場)|初心者向けにわかりやすく紹介
縁起物の価格は神社やサイズによって幅があり、選ぶ時の基準も人それぞれです。
小さめのものは手に取りやすい価格で、初めて訪れる人でも気負わずに選べるのが魅力です。
一方で、大きくて飾りが多いものは存在感があり、華やかさや縁起の良さがぐっと増すため、値段も自然と上昇していきます。
吉兆の種類が増えるほど願いの幅も広がるように感じられ、眺めているだけで心が弾むような仕上がりになります。
また、商売をしている人の中には、毎年少しずつ大きなものへと買い替えていくことで“福を積み重ねる”気持ちを大切にしている人もいます。
大切なのは値段そのものよりも、自分の状況や気持ちにしっくりくるものを選ぶことです。
無理をせずに手にした縁起物は、毎日の暮らしにそっと寄り添い、より大切に感じられるはずです。
選ぶ時間そのものが心を整えてくれるような、穏やかで温かいひとときになるでしょう。
福笹・熊手の返納(納め方)|いつ返す?どうする?
基本的には、授かった翌年の十日戎で感謝を込めて返納します。
これは一年間見守ってくれた縁起物へのお礼の気持ちを形にする大切な行いです。
どうしても十日戎に行けない場合は、近くの神社に納めたり、神社で案内されている方法に従って丁寧に処分することもできます。
燃えるごみとして捨てる前に清めの塩をふる方法など、地域や神社によってさまざまなやり方が伝わっています。
大切なのは、手放すときに一年間守ってくれたことへの感謝の気持ちをそっと添えることです。
そうすることで心がすっきりと整い、次の年をまた気持ちよく迎えられるような前向きな気持ちが自然と生まれてきます。
十日戎の参拝方法|縁起物の受け方・回り方のコツ
初めての参拝でも迷わないように、まずは神社にお参りし、そのあと福笹や熊手を授かる流れが一般的です。
境内に入る前に気持ちを落ち着かせ、深呼吸をしてから手水舎で身を清めると、自然と心の切り替えができて、より穏やかな気持ちで参拝ができます。
神前で手を合わせる時間は、新しい一年に向けて自分の願いを静かに見つめ直す大切なひとときです。
そのあと授与所に向かい、福笹や熊手を選びますが、吉兆をつける際には、どんな飾りがいいか巫女さんに相談したり、自分の願いに合わせてゆっくり選んでみると、より特別な気持ちで持ち帰ることができます。
飾りひとつひとつに込められた意味を知りながら選ぶ時間は、未来の自分に優しく寄り添うような温かさがあります。
一歩一歩進むごとに、新しい一年の希望が形になっていくような感覚が味わえ、選んだ縁起物を手にした瞬間には、心の中にふんわりとした明るさが広がっていくのを感じられるでしょう。
関西の有名な十日戎スポット
十日戎といえば、まず名前が挙がるのが西宮神社です。
福男選びが行われることでも知られ、朝から大勢の人でにぎわいます。
大阪の今宮戎神社は、明るい掛け声と共に活気があふれ、京都ゑびす神社は落ち着いた雰囲気の中にも温かな空気が流れています。
それぞれに魅力があり、自分に合った神社を訪れるのも楽しみのひとつです。
十日戎の混雑状況・屋台情報・アクセス
期間中は時間帯によって混雑具合が変わります。
夕方から夜にかけては特に人が多く、ゆっくり楽しみたいなら昼前後が比較的落ち着いています。
屋台も多く並び、温かい食べ物やお祭りならではの味に心がほぐれていきます。
初めて十日戎に行く人向け|持ち物・服装アドバイス
まだまだ寒い時期なので、しっかり防寒しておくと安心です。
両手が空くバッグだと動きやすく、縁起物を受け取る際にも便利です。
小銭を少し用意しておくとスムーズに参拝できます。
ゆっくり楽しめる準備をしておくことで、より心地よい時間が過ごせます。
十日戎の豆知識(知るともっと楽しい)
西宮神社で行われる福男選びは全国的にも話題になり、早朝から多くの参加者と観客が集まり、その一瞬の緊張感と躍動感が新春の空気をさらに盛り上げます。
勢いよく駆け抜ける参加者の姿は迫力があり、見ているだけでも自然と気持ちが高まっていくようです。
また、関西と関東で縁起物が違う理由を知ると、地域の文化の豊かさや歴史の違いに気づくことができ、それぞれの土地に根付いた思いが形として受け継がれてきたことを感じられます。
さらに、同じ行事でも場所によって雰囲気ががらりと変わり、訪れる地域によって新たな魅力を発見できるのも面白さのひとつです。
違いを知るほどに楽しみが広がり、何度も足を運んでみたくなるような奥深さがあります。
まとめ|十日戎は新しい年に願いを込められる大切な行事
十日戎は、新年の始まりに一年の願いをしっかりと込められる行事です。
参拝の時間や縁起物を授かる瞬間は、新しい一年を気持ちよく進むための励みになります。
無理をせず、自分のペースで楽しむことで、心がふんわりと温かくなるような時間が過ごせます。



